
ソフトウェアテスト
【6.テストツール編】JSTQB Foundation Levelシラバス最新版の具体的な変更点まとめ
アプリやゲームが実際にデバイス(実機)で動くかどうかは、開発上の死活問題です。端末テストは、各デバイスでアプリが作動するかを確認するもので、開発上「必須」の工程ともいえます。しかし、多くの開発者や発注者は、特に多端末テストについて「どう依頼していいかがわかない」という思いを抱いているようです。ここでは、monoAI technology(モノアイテクノロジー)株式会社(現・AIQVE ONE【アイキューブワン】株式会社)のQA(品質保証)サービス・多端末検証を紹介しつつ、アプリテストを最適なものにするポイントをテスターへのヒアリング形式で紹介します。
――多端末検証というと、ゲームの実機からAndroidスマートフォンやiPhone、iPad等のタブレット、KindleからVRの実機まで、またキャリアも日本のものだけでなく海外のものまでと幅広いデバイスが対象になります。OSのバージョンも考慮しなければならないでしょう。monoAI technology(現・AIQVE ONE)では、これらに柔軟に対応し、テストを実現していますが、あまたあるデバイスすべてを網羅的にテストすることは、予算や時間的制約の兼ね合いでほぼ不可能だと思います。その場合、優先的にテストする端末はどのように選定しているのでしょうか。
「まず、一番大切にしているのはお客さまのご要望です。『テストをしたいのですが、予算がこれくらいです。お願いします』とか、『大体30台の実機で実施してほしい』といった大枠だけが決まった状態でのテストの依頼が結構多いので、最初にヒアリングをして、要件の定義を明確に定めていきます」
――それこそ、「あとはテスト会社に任せよう」といった感じで“丸投げ”的にテストを依頼されるケースも業界的に多いと聞きます。
「端末テストがどのように行われているかをあまり知らないお客さまも多いので、『これはこういうふうにやらないとテストできないんです』といった“実際”を丁寧にお伝えして、『えっそんなことになるの?』というお客さまのお声に応じて、テストの仕方を決めていきます。具体的には、『どこまでの時期に発売されたものでやりますか?』とか、『広いシェアを獲得している実機のなかでも、どこまでをテスト対象にしますか?』『スペックは気にしますか?』とか『表示領域が影響するゲーム(アプリ)ですか?』など質問をして、要件を明確にしていきます」
――お客さまの要望をまず確認して、そのあと、どの実機を優先的にテストするか、を選んでいくのですね。「GalaxyのモデルでAndroid」といってもそれだけでかなりの種類のデバイスがありますから。
「選定基準として最も優先しているのは、そのデバイスの『シェア率』ですね。世の中によく出回っているもの、メジャーな端末です。それから、バージョンも基準になります。AndroidやiOSの各バージョンなどの『シェア率』をやはり見て、『何パーセントのシェア率のものまでやりますか?』とお客さまの声を聞きつつ、折り合いをつけていきます」
――確かに、まずは多くの人の手元にあるデバイスで動くかどうかがハードルになるのは、私も想像ができます。シェア率を考慮するだけで、一段、「大勢」のデバイスでアプリが使えるか否かがわかる。
「その次に選定の基準となるのが、アプリやゲーム自体が各端末に対応しているか、です。あるいは『その端末独自』にアプリが対応している場合もあるので、動作が端末に依存する度合いが高いものを選びます。お客さまからは、たとえば『Google端末だけ(あるいはAQUOS端末だけ)は対応してほしい』といったご要望もいただくので、そのご意見はサービスに反映します」
――「Xperiaで」「Galaxyで」といった要望も多そうです。
「それから、画面サイズや解像度が基準になることがあります。それをパターンにして、お客さまと調整したりしますね」
――画面最適化や解像度調整はソフトウェア開発でも意外に難しいところですからね。
「あと、そんなにないケースですが、CPUとRAMとROMの組み合わせなどが要件に上がることもあります。Xperia、Galaxy、LGそれぞれ、CPUが違っていますし、CPU・RAM・ROMの組み合わせ次第で、アプリが使えなかったりすることがあるんです。そういった時は、たとえばRAMやROMについて容量によって違いますが、容量的な最大値と最小値をピックアップして、数字だけを網羅する、といったかたちで対応することもあります」
――ちなみに、お客さまから提示される予算が明確な場合はいいとして、台数や工数によって金額を決めなければいけない場合、monoAI technology(現・AIQVE ONE)としてはどうしていますか。
「他の会社では、1端末いくら、といった形で課金していくことも行われていますが、弊社では端末をそろえたりする『端末調整』の時間と、実際の『テスト実行時間』、端末レンタル代などで総合的に金額を決めています。弊社は自動化テストも行っているので、金額的には相場より安く行えています」
――monoAI technology(現・AIQVE ONE)の多端末テストの「強み」は作業自動化を併用したテストということですね。
「たとえばお客さまからの要望で多いのが、各実機の起動チェックだったりするんですね。『起動したら、動いたら、それでOK』という依頼がある。それを人力でやると、実機をダーッと並べて一つひとつ手作業で、あるいは100台やる、といったことも出てきます。それってリソースがもったいないですよね。テストの作業でも決まった作業であれば、人がやらずに自動でできればいい。テスターにつながるUSBなんかに実機をつないで、スクリプトを入れたテスターを起動して、各端末ごとに対応した接続をすれば、自動的に作業が推進されます。自動化の利点は、同時並行で多数の(たとえば30台以上とか)端末がテストできることと、業務時間外や深夜でも自動で進めてくれることです。これによって、より多くの端末をテストできるサービスがお客さまに提供できています」
――「生身」ではないので、どんどん行けるわけですね。
――冒頭で、お客さまとの間で「最初にヒアリングをして、要件の定義を明確に定めていきます」と述べていましたが、そのあたりはどう進めているのでしょうか。
「シェア率を指定されたり、端末を指定されたりする場合は、弊社として用意できる端末をまず明確にします。その上で、あとはお客さまの予算との調整で、実施する端末をしぼっていきます。各ゲームによっては、時に同じような不具合がでる傾向があったりするので、その不具合傾向を念頭に置きつつ、こういう端末が必要だなと判断して、選ぶこともあります。それをお客さまに提示し、検討に加えるべきか相談します」
――基本的には、お客さまの要望に沿うかたちでテストの計画を立てると思います。一方で、「念のためのテスト」のようなものをmonoAI technology(現・AIQVE ONE)側から提案することはありますか。
「たまにありますね。たとえばゲームには端末について「未対応/対応」を明記しているものがあるんですね。逆に、明記されていないものもある。その際に、未対応と対応のスペックぎりぎりのところをあえて動作確認したりします。対応していると書かれているのに、実際は動かないということがあるんです。また、新しくでたデバイスやバージョンがあれば、それへの対応を話題にしたりします。5Gももちろんそうですが、シェアを急速に伸ばしたGoogle Phoneは入れた方がいいとか、iPadにiPad OSが出ました、とお知らせします。解像度とかも同じiPhoneでも古いものと新しいもので相当ちがうので、それは別物として提案したりもしますね。最新機能をもつ端末はなるべくテストしたいと思っています」
――職人芸的な世界になっていますね。
「『この世代の実機ならRAMは何ギガだろうから~』といった感覚は、端末選定の際に活きることがあります。世間的な『買い替えの周期』みたいなものがわかるものもあるので、そういったフェーズも考慮しますね。このあたりは、Wi-Fi環境などの通信環境によっても変わってきます」
――CPUについて、個別要望があったりしますか。
「滅多にないですが、たとえば『Snapdragonの古いものと新しいものを両方試してほしい』といった要望があったりはします。もちろん、サービスとして対応します」
――お客さまのご要望がわりと抽象的だったり、ざっくりした数字をもとにしたものだったりといったことが多いという話でしたが、困ったりするケースはありますか。
「そうですね、実機で動くかどうか、それこそ起動チェック的なものだけをやるテストと、実際にゲームをプレイしてバグや不具合を見つけていくというのは別とmonoAI technology(現・AIQVE ONE)として考えています。おそらく業界全体でもこの違いは意識されているはずです。しかし、お客さまはそういった状況をご存じないことが多いので、『どこまでのテストか』という点は確認必須です。やはり、弊社でもプレイまで依頼されて、何時間か遊んでみるといったことはあります。そこまでを想定しているお客さまかどうかは、ハッキリさせますね」
――その場合、やはり人力の要素もでてくると思うのですが、自動化にも取り組んでいますか。
「はい、取り組んでいます。決められたシナリオの動作を繰り返し作業する場合は、自動化して効率化しています。monoAI testerという独自のツールを使用しています。2〜3割の工数削減を目標にしていますが、実際に効果が出ている案件もあります。すべての工程を自動化することは、現段階では難しいですが、狙いを定めて、目的をはっきりさせることで、うまくマッチするケースもございます。」
――大変参考になりました。本日はありがとうございました。
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https://www.aiqveone.co.jp/contact/
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