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XR(クロスリアリティ)とは?今さら聞けない基礎知識とビジネス活用事例
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ゲームエンジンとは、ゲーム開発に使われる機能や素材、ライブラリなどが統合されたソフトウェアです。効率的にゲームを開発し、高品質なゲームを完成させるためには、ゲームエンジンは欠かせないツールとなっています。多くの人が知っている有名なゲームや3D・VR・ARなどの高品質なゲームも、ゲームエンジンを活用して開発されています。
ゲームエンジンの中でも、特に利用されるがUnityとUnreal Engineの2つです。しかし、ゲーム開発の経験が豊富なエンジニアでなければ、この2つのゲームエンジンの違いを理解するのは難しいかもしれません。ゲーム開発を学び始める際には、ゲームエンジンとは何か、そしてUnityとUnreal Engineの違いを把握することが重要です。
この記事では、UnityとUnreal Engineの概要や主な違い、それぞれの利用シーンについて解説します。この記事を読むことで、ゲーム開発を進める上でどちらを選択すればよいか判断できるようになるでしょう。
Unityとは初心者からプロの開発者まで、幅広く使われている世界的に人気の高いゲームエンジンです。 もともとは3Dゲーム開発をベースに設計されていましたが、スマートフォンの普及に伴って2Dゲームの開発環境も強化されてきました。その結果、スマホ対応エンジンとしての地位を確立し、初心者が2Dゲーム開発を始めるための入口としても多く利用されるようになっています。 様々なプラットフォームでのゲーム開発を効率化できることから、多くの開発者に選ばれています。
Unityは、2005年にリリースされ、現在も進化を続けています。2024年10月には、最新バージョンである「Unity 6」正式版がリリースされ、さらに迅速かつ効率的なゲーム開発が可能になっています。
▽Unityの概要・主な特徴
Unreal Engineとは高品質なグラフィック表現を実現できる高性能なゲームエンジンです。ゲームエンジン市場では、Unityに次ぐシェアを誇り、その優れた映像表現から映画やアニメーション、建築ビジュアライゼーションの分野でも広く利用されています。
Unreal Engineは、1998年5月にリリースされたPC向けFPS「Unreal」とともに登場しました。このゲームのために開発されたエンジンがUnreal Engineの始まりであり、「Unreal」という名称はこのゲームに由来しています。2022年4月には、最新版である「Unreal Engine 5」が正式にリリースされました。
▽Unreal Engineの概要・主な特徴
開発元
アメリカのEpic Games社
対応言語
C++、Blueprint
グラフィック表現が秀逸
フォトリアリスティックなグラフィック表現を実現し、映画やアニメーションなどの業界でも採用。
Blueprintによるビジュアルスクリプティング
プログラミング知識がなくても、視覚的にゲーム開発が可能
ソースコード公開
GitHub上でソースコードが公開されており、開発者が自由に参照・カスタマイズ可能
外部の3DCGソフトウェアと連動可能
「3ds Max」「Maya」「Revit」「SketchUp Pro」などの3Dモデリングツールとシームレスに連携
無料で利用可能
開発したゲームが一定の収益(年間100万ドル)を超えるまでは無料で利用が可能
Unreal Engineで開発された代表的なゲームタイトルの例
Fortnite(Epic Games)
ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて(スクウェア・エニックス)
ファイナルファンタジーVII リメイク(スクウェア・エニックス)
鉄拳8(バンダイナムコエンターテインメント)
8番出口(KOTAKE CREATE)
ストリートファイターV(カプコン)
【Unity・Unreal Engine比較表】
Unity | Unreal Engine | |
主な特徴 | 初心者からプロまで幅広く使われるシェアNo1のゲームエンジン | 高品質なグラフィックを実現可能な高性能ゲームエンジン |
言語 | C# ※Boltというビジュアルスクリプトツールは導入されているが、Bluerintほど成熟していない | C++ Blueprint(ビジュアルスクリプトツール) |
シェア | ゲームエンジン市場でのシェアではトップ。特にモバイルゲームでのシェアは、Unreal Engineに大きな差をつける。 | ゲームエンジンとしてのシェアはUnityに次いで2位。ただしPC・家庭用ゲーム機用のゲームにおけるシェアは、Unityより高い。 |
学習のしやすさ | 日本国内でのシェアが高く、日本語の情報が豊富。多くの情報が日本語化されている。 | 学習用コンテンツや情報は多いが、英語の情報が中心。 |
エディタの使いやすさ | シンプルで直感的。初心者でも扱いやすい。Unreal Engineに比べて動作が軽量で、初心者でも扱いやすい設計。 | 豊富な機能を搭載し高度なゲーム開発に適している反面、使いこなすには慣れが必要。また高機能ゆえに動作が重く、高スペックのPCが必要。 |
グラフィック | 高品質なグラフィックの実現も可能だが、追加の作業が必要となり初心者にはハードルが高い。 | デフォルトの設定でも、高品質なグラフィックの実現が可能。 |
対応プラットフォーム | マルチプラットフォーム ※ Unreal Engineに比べても対応プラットフォームが多い。 | マルチプラットフォーム |
料金プラン | 年間収益20万ドル未満の個人および小規模企業は無料で利用可能。年間収益が20万ドルを超える場合は有料プランへ移行が必要。 | 年間収益100万ドルまで無料で利用が可能。年間収益が100万ドルを超える場合は、5%のロイヤリティが発生。 |
UnityとUnreal Engineは、どちらも広く利用されているゲームエンジンで、それぞれ特徴的な強みがあります。以下、シェア率や利用プランなど、特に重要なポイントを比較していきます。
ゲームエンジン市場では、Unityが世界トップシェアを誇り、Unreal Engineがそれに続いています。「Statista」が2019年にイギリスのゲーム開発者に行ったアンケートによると、Unityの利用者が全体の72%と最も多く、Unreal Engineの利用者が27%と続きました。
Unityは特にモバイル環境のゲーム開発で高いシェアを誇っています。Unity Technologiesが公開したデータによると、2020年第4半期のモバイルゲームランキングをみると上位1,000件のうち約71%がUnityを利用していました。
一方、PCや家庭用ゲーム機向けのゲーム開発では、Unreal Engineの方が高いシェアを誇ります。たとえば「Raddit」のユーザーが行った非公式な調査では、以下のとおりUnity EngineがUnityに比べ2倍以上のPCゲーム開発に使われていたとのことです。
【2018年にSteam上で公開された6万超のPCゲームが利用するゲームエンジン】
・Unreal Engine:23%
・Unity:11%
日本国内では他国と同様にUnityが最もよく使われており、最新のメタバース関連プラットフォームでも多く採用されている状況です。たとえばソーシャルVRプラットフォーム「cluster」や「REALITY」などがUnityを使用しています。
【情報量】
Unityは日本国内でのシェアが高く日本語の情報が豊富です。公式ドキュメントやチュートリアルに加え、専用の学習サイト「Unity Learning Material」も日本語で参照できます。その他、有志によるユーザーコミュニティやブログなど、様々なリソースから日本語の関連情報を見つけられるでしょう。
一方でUnreal Engineもインターネット上の情報は豊富ですが、海外ユーザーが多いことから、英語の情報が中心となっています。公式ドキュメントやチュートリアルは充実していますが、日本語の情報はUnityほど多くはありません。
【コミュニティ】
Unityは日本のフォーラムやユーザーグループが活発で、日本語で質問や情報交換をしやすい環境が整っています。特に初心者にとって、言語の壁が低いことは大きなメリットです。
一方、Unreal Engineは英語圏のコミュニティ(Unreal Engine Forumsなど)が中心であり、日本語に対応したフォーラムやグループは限られています。そのため、英語が苦手なユーザーにとっては、情報収集や質問のハードルが高いと感じられるかもしれません。
【プログラミングの難易度】
Unityでは主にC#を使用してシンプルな構文と直感的なエディタで操作できるため、初心者にも学びやすい環境が整っています。一方、Unreal EngineではC++が使用されることが多く、C#に比べてプログラミング難易度が高いと言われることが多いです。特に、メモリ管理や低レベルプログラミングが必要な場合は初心者にはややハードルが高いかもしれません。しかし、Unreal Engineでは「Blueprint」というビジュアルスクリプティングツールも用意されており、プログラミング知識がなくても視覚的にゲームを作成できます。これにより、初心者でもある程度活用することが可能です。
Unityのエディタはシンプルで直感的な操作が可能なデザインとなっており、初心者でも扱いやすい点が特徴です。比較的動作も軽く、高いスペックを必要としないPCでも快適に動作するのも魅力です。またUnityのエディタは、必要に応じて機能を簡単に導入することも可能です。
一方Unreal Engineのエディタは、豊富な機能を搭載しており、特に高度なゲームの開発に適しています。初期設定のままでも高品質なグラフィックを実現でき、特に3Dゲームの開発に強みを持ちます。その反面、高機能ゆえにエディタ自体の動作が重く、高スペックのPCを必要とする場合がある点には注意が必要です。
グラフィックの品質ではUnreal Engineの方が優れており、特にPCや家庭用ゲーム機用のゲーム開発で採用されることが多いです。Unityでも美しいグラフィックを実現することは可能ですが、Unreal Engineに比べて追加の作業が必要となり初心者にとって難易度が高い場合があります。Unreal Engineであれば、デフォルトの状態でも高品質なグラフィックを提供できる点が強みです。
Unity・Unreal Engineともにマルチプラットフォームであり、どちらも主要なプラットフォームに対応しています。
両者を比較すると、対応プラットフォーム数が多いのはUnityです。VR/ARの対応プラットフォームを比較するとUnityは幅広いプラットフォームに対応しているのに対し、Unreal Engineは高品質・フォトリアリスティックな表現を求めるプラットフォームに対応しています。 UnityはWebGLに対応している点も大きな特徴です。Unreal Engineと異なり、ブラウザベースのゲーム開発にも適しています。
プラットフォーム | Unity | Unreal Engine |
PC | Windows、MacOS、Linux | Windows、MacOS、Linux |
モバイル | iOS、Android | iOS、 Android |
コンソール (ゲーム機) | PlayStation、Xbox、 Nintendo Switch | PlayStation、 Xbox、 Nintendo Switch |
VR/AR | ARKit、ARCore、Microsoft HoloLens、Windows Mixed Reality、Magic Leap (Lumin)、Oculus、PlayStation®VR2 | ARKit、ARCore、OpenXR、SteamVR、Oculus |
Web | WebGL | HTML5(限定的) |
その他 | Embedded Linux、QNX |
Unityは開発したゲームの年間収益が20万ドル未満であれば、無料で利用できます。年間収益が20万ドルを超えた場合は、有料プランへの切り替えが必要です。
一方Unreal Engineは、開発したゲームの年間収益が100万ドルを超えるまで無料で利用可能です。年間収益が100万ドルを超えた場合は、収益の5%に相当するロイヤリティの支払いが必要となります。
さらに、どちらも、有料のサブスクリプションプランを契約することで、さらに高度な機能を利用することが可能です。
Unity | Unreal Engine | |
無料プラン | 年間収益20万ドル未満の個人・小規模開発向け ※ 年間収益が20万ドルを超える場合は有料プランへの移行が必要 | 年間収益100万ドル未満の個人・小規模開発向け ※ 年間収益が100万ドルを超える場合は、収益のうち5%にあたるロイヤリティの支払いが必要 |
有料プラン | Pro:年額$2,040 Enterprise:カスタム価格 Industry:年額$4,950 | シートベース:年額1,850$/シート ※ 25シート以上であれば、カスタムライセンスでの購入が可能 |
UnityとUnreal Engineはそれぞれ得意分野が異なるため、開発をする際にどちらを選べばいいか迷うことも多いかと思います。選定のポイントをまとめました。
【プロジェクト要件別推奨エンジン早見表】
プロジェクト要件 | 推奨エンジン |
スマホ向けメインでPC展開の想定がない、もしくは横展開程度を想定 | Unity |
PC向けだが2Dのライトなゲーム | Unity |
PC向けで綺麗なグラフィックでバッチリ決めたい | Unreal Engine |
高精細なVRゲームを作りたい | Unreal Engin |
3Dアバター関係のShaderや、VTuber向けの表情検出系アセット・ツールを使用したい | Unity |
目的に沿った、特定のライブラリを使いたい。 | Unity or Unreal Engine |
それぞれの具体的な活用シーン例についてもみていきましょう。
Unityが適している活用シーンのケースとして以下が挙げられます。
・モバイルゲーム・2Dゲームの開発
Unityは軽量で動作が軽く、2Dゲーム開発向けアセットストアが充実しているため、モバイルゲームや2Dゲームの開発に適しています。インディーゲーム開発者や小規模なチームにとって使いやすいプラットフォームです。
・ブラウザベースのゲームや広告用のインタラクティブなミニゲームの開発
UnityはWebGLに対応しているため、ブラウザベースのゲームや広告用のインタラクティブなミニゲームを開発する際にも有用です。モバイルゲーム開発だけでなく、Web上でのゲーム展開にも対応できる点が強みです。
・簡易的なゲーム・アプリのプロトタイプ作成
Unityのアセットストアには、初心者向けテンプレートやサンプルプロジェクトが豊富に揃っています。これらを活用することで、複雑なコーディングなしで動くプロトタイプを素早く作成可能です。
・VR/ARコンテンツ開発
モバイルデバイス向けARコンテンツ・スタンドアロンVRヘッドセットコンテンツ向けに適しており、教育やトレーニング用のシミュレーション開発にも活用されています。
・3Dアバター関連のプロジェクト
「VRChat」といったサービスがあり、それがUnityをサポートしているため、3Dアバターに関するシェーダーなどがGithubやBoothなどで公開されているケースが多く、これらを活用しやすいです。
Unreal Engineが適している活用シーンのケースとして以下が挙げられます。
・フォトリアルな3DゲームやAAAタイトルの開発
Unreal Engineは高品質なグラフィックを実現できるため、フォトリアルな人物・風景表現を求められるAAAタイトルや、シミュレーションゲームの開発に適しています。
・コンソールやPC向けのハイエンドゲーム開発
コンソール・PC向けの大規模な3Dゲームやアクションゲームの開発に強みを持っています。
・VR/ARコンテンツ開発
Unreal Engineはリアルタイムレイトレーシングや高品質なグラフィック表現が可能で、大規模なVR体験(マルチユーザーのVRゲーム、大規模な仮想イベントなど)映画向けAR/VRコンテンツの開発にも適しています。
・映画・アニメ・建築分野向けコンテンツ作成
Unreal Engineはその高品質なグラフィック表現を活かし、ゲーム以外の分野、たとえば映画・アニメ・建築ビジュアライゼーションなどのコンテンツ作成にも使用されています。
・Blueprint(ビジュアルスクリプト)による簡易な3Dゲームの作成
Blueprint(ビジュアルスクリプト)を使用すれば、初心者でもプログラミングなしで3Dゲームを作成可能です。マーケットプレイスにて販売されているBlueprint向けアセットを利用することで、効率的に3Dゲームを開発できます。
ゲーム開発において、2大ゲームエンジンと言われるUnityとUnreal Engineの特徴や違いについて解説しました。
Unityは初心者から熟練のエンジニアまで、幅広く使われているゲームエンジンです。軽量で直感的な操作が可能で、特にモバイルゲームや2Dゲームの開発に適しています。一方、Unreal Engineは高品質なグラフィック表現が可能で、フォトリアルな3Dゲーム、PC向け・コンソール用ゲームの開発に適したゲームエンジンです。
両エンジンはそれぞれ特徴が異なっており、ゲーム開発では棲み分けがされています。そのため、求める表現やプロジェクトのスケールなど、利用シーンに合わせてどちらを使うか選択することが必要です。
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