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セキュリティ

オンラインゲームのチートの種類とその対策方法を徹底解説

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オンラインゲームの世界にはさまざまなチートが存在し、そのための対策も多岐にのぼります。 

チート行為ひとつひとつの被害は大きくないかもしれませんが、それが蓄積したり頻発したりした場合の被害は計り知れません。そのためどのようなチートが行われる可能性があるかを把握し、適切に対策をする必要があるのです。 

この記事ではオンラインゲームにおけるチートの脅威がどのくらい増えているか、代表的なチート行為の種類、対策方法について解説します。チート対策を適切に行うための手引きとして、参考にしていただければ幸いです。 

オンラインゲームにおけるチートの脅威 

チートの脅威に悩まされている、ゲームタイトルやゲーム会社は少なくありません。ここではチート行為が頻発するオンラインゲーム業界における現状や、チートの影響について見ていきましょう。 

オンラインゲーム業界の現状 

オンラインゲーム業界においては、残念ながらチートの数は増加している状況です。 

NHN Cloud Japanのセキュリティソリューションが収集したデータによると、セキュリティ脅威行為の探知数は過去2年間で増加しています。たとえば2023年4月において、MAUごとの検知セキュリティ異常数は7.5でしたが、24年4月には11.5まで増加していました。 

この傾向は有名ゲーム「Final Fantasy 14」が毎週発表している、RMTや不正行為による制裁措置が行われたアカウント数をみてもわかります。2021年の67,071、2022年の83,840に対し、2023年は233,271と前年の倍以上となっているのです。ゲーム会社は、早急なチート対策が求められています。 

チートによる影響 

オンラインゲームにおけるチートは、ゲームタイトルやゲーム会社にとって様々な悪影響を及ぼします。 

チート行為が蔓延すれば、ゲームバランスやゲームの公平性が失われてしまうのは明白です。その結果、プレイする楽しさが失われ、ユーザーの不満が蓄積されてしまいます。 

ユーザーの課金意欲が低下してしまうだけではなく、ゲームを離脱するきっかけにもなり得ます。その結果、ユーザー数の減少や収益の減少が起こり得ます。さらに、チートが蔓延するゲームは評判が悪化し、新規ユーザーの獲得が難しくなります。これにより、ゲーム全体のブランドイメージにも悪影響が及び、長期的な成長にも支障をきたす恐れがあります。 

チートの種類 

オンラインゲームの世界では、様々な種類のチートが存在します。ここではその中でも、代表的なチートを種類ごとにみていきましょう。 

1.視覚・表示の操作 

プレイヤーの視覚やゲームの表示内容を不正に操作し、プレイヤーの視界を拡張・強化するチートの種類です。視覚や表示に関わるチートを行うことによって、ユーザーは本来的にあり得ない形でゲーム内の状況を把握できるようになります。 

【視覚・表示の操作に関する主なチートの例】 

ウォールハック (Wallhack) 壁やオブジェクトを透過させるなどして、本来は見えない相手を見えるようにするチート 
ESP (Extra Sensory Perception) 他プレイヤーの位置・名称・体力ゲージなどを特定し、画面上に表示するチート 
レーダーハック (Radar Hack) レーダー機能を改ざんしたりゲームの通信を傍受したりするなどして、他プレイヤーをレーダー上に表示するチート 
視覚効果変更 (Visual Hacks) 暗い場所を明るくしたり、敵キャラクターをハイライト表示したりするなど、本来は見えないものを容易に識別できるようにするチート 

エイム・攻撃の自動化 

プレイヤーのエイム・攻撃を自動化・強化したり、精度を向上させたりするチートの種類です。このチートによって、不正を行っていないユーザーが倒されやすくなってしまいます。 

【エイム・攻撃の自動化に関する主なチートの例】 

エイムボット (Aimbot) 専用ツール・スクリプトを使うなどしてエイムを自動的に行うチート 
トリガーボット (Triggerbot) 標的に照準が合うと、自動的に射撃を行うチート 
リコイル制御 (Recoil Control) 射撃を行ったときにおこる反動(ブレ)を、コントロールするチート 
ダメージハック (Damage Hacks) 特定の武器・スキルなどによる攻撃のダメージ量を増加させるチート 

移動・位置の不正操作 

プレイヤーの移動速度や位置情報を、不正に操作するチートの種類です。通常のゲームプレイでは不可能な動作を実現します。 

【移動・位置の不正操作に関する主なチートの例】 

スピードハック (Speedhack) プレイヤーの移動速度を変更し、高速移動を可能とするチート 
テレポート (Teleporting) プレイヤーの位置を管理する座標データを改ざんし、瞬時に別の場所へ移動させるチート 
無限ジャンプ (Infinite Jump) ゲーム上の制限を無視して、空中で何度もジャンプしたり高くジャンプしたりするチート 
スピンボット (Spinbot) ツールやスクリプトなどによって、プレイヤーを高速回転させ、他プレイヤーが追いづらくするチート 

リソース・体力の不正操作 

弾薬や体力、リソースを不正に増やしたり、減らないようにしたりするチートの種類です。プレイヤーは、本来的にはありえない弾薬や体力が使えるようになります。 

【リソース・体力の不正操作に関する主なチートの例】 

無限弾薬 (Infinite Ammo) ゲーム内で弾薬を管理するメモリを改ざんするなどして、無制限に弾薬を使えるようにするチート 
神モード (God Mode) 体力を管理するメモリ値を変更するなどしてプレイヤーを無敵状態にし、体力が減少しなくなるチート  
無限資源 (Infinite Resources) アイテムや素材など、ゲーム内の特定リソースを無限に利用できるようにするチート 

自動化・ボット行為 

プレイヤーの操作をボットにより自動化して、特定のゲーム操作を反復的に行うチートの種類です。手動ではありえない回数の操作が行われることになります。 

【自動化・ボット行為に関する主なチートの例】 

ファーミングボット (Farming Bots) リソースの収集などの反復作業をボットに任せ自動化するチート 
マクロ (Macro) マクロツールなどにより、プレイヤーが複雑な操作・コンボを自動で実行できるようにするチート 
自動クリック/自動入力 (Auto-clicker/Input) 特定箇所のクリックや特定のキー入力を自動化するチート 

バグやゲームの欠陥を悪用 

ゲーム内のバグや設計上のミスを利用して、他のプレイヤーに対して不正なアドバンテージを得るチート行為です。 

【バグやゲームの欠陥を悪用する主なチートの例】 

グリッチ (Glitch Exploits) ゲーム内のバグや不具合を悪用し、通常では不可能な動作(アイテム増殖、マップ外移動など)を実現するチート 
クライアントサイド変更 (Client-Side Modification) クライアント側のプログラムを改ざんし、無限体力やアイテム増殖などを行うチート。 

ネットワーク・接続の操作 

ネットワーク接続を不正に操作するチートは、ゲームプレイ中に通信の遅延や不安定さを意図的に作り出し、他プレイヤーに不利な状況を作り出すことが目的です。 

【ネットワーク・接続の操作に関する主なチートの例】 

ラグスイッチ (Lag Switch) オンラインゲームにおいて意図的に回線の遅延(ラグ)を引き起こし、自プレイヤーが瞬間移動したように見せるなど相手を不利にするチート 
DDoS攻撃 (Distributed Denial of Service) DDoS攻撃とは、複数(大量)の端末でサーバーへ同時に負荷をかけ、サービス停止などの影響をもたらす攻撃を指す。DDoS攻撃により、相手がゲームをプレイできない状態にしたり、特定プレイヤーがラグで苦しむようにしたりするチート 

アカウント・ランクの操作 

他プレイヤーのアカウントを不正に取得して利用したり、自分のランクをわざと下げて有利に対戦を進めたりするチートの種類です。他プレイヤーにアカウントを不正利用されると、ゲームをBANされるなどの被害も考えられます。 

【アカウント・ランクの操作に関する主なチートの例】 

アカウントハック (Account Hacking) 他プレイヤーのアカウントを不正な方法で乗っ取り利用するチート 
複数アカウント使用 (Smurfing) 1人で複数のアカウントを使い、他プレイヤーより有利に立ち回るチート 
アカウント共有 (Account Sharing) 1つのアカウントを複数ユーザーが共有し、プレイを行うチート 
レベルブースト (Level Boosting) 本来の手順を無視して、急激にキャラクターのレベルを向上させるチート 

チート支援および取引 

他プレイヤーがチート行為をすることを支援したり、チートに関わる取引によって金銭を得たりする例も少なくありません。具体的には、以下のような例が挙げられます。 

チートツールの販売 (Cheat Tool Sales) ゲーム内で不正な操作を可能とするチートツールを作成し、他プレイヤーに販売すること 
チート代行サービス (Cheat Boosting Services) プレイヤーに代わってチートを行い、キャラクターのレベルを上げたりアイテムを得たりすること 
チート方法の指南 (Cheat Method Instruction) チートを行う手順や技術を他プレイヤーに教えること 
チートアカウントの売買 (Cheat Account Trading) ゲーム内で不正行為を行うことを目的に改ざんされたアカウントを、他プレイヤーに販売すること 

チート行為に対する対策 

チート行為の実現方法は多種多様であり、そのため様々な種類の対策を検討しなくてはなりません。ここでは以下5つの種類ごとに、主なチート対策を紹介します。 

  • サーバーサイドの監視と制御 
  • クライアントサイドの保護と検出 
  • 行動パターンとユーザーの監視 
  • バグと不正行為への迅速な対応 
  • 脆弱性の改修 

サーバーサイドの監視と制御 

サーバーサイドで実施できるチート対策の種類として、以下が挙げられます。 

情報制御(プレイヤーに送信する情報の制限) プレイヤーへ送信されるゲームのデータを最小限にとどめることで、チートを防ぐ対策。たとえばゲームにおける重要な処理をサーバー側でおこない、クライアント側には最小限のデータしか送らないようにする。 
照準データ解析(エイム挙動の分析) プレイヤーのエイム動作を分析し、チートを検出する対策。たとえばプレイヤーのエイム精度や反応時間を分析し、異常な数値が検知された場合は、チートの可能性が高いと考えられる。 
位置情報検証(移動速度や位置のチェック) プレイヤーの位置情報や移動速度を監視し、不正な行動を検出するチート対策。たとえばゲーム内の設定ではありえない速度でユーザーが移動していた場合、位置偽装やスピードハックの可能性が高いと考えられる。 
リソース管理(リソースや体力のサーバー側での管理) プレイヤーの体力・アイテムといったリソースをサーバー側で管理するチート対策。サーバー側でリソースを管理することで、クライアント側での不正な操作・改ざんを防ぐ。 
データ整合性チェック(定期的なデータの検証) ゲーム内のデータが不正に改ざんされていないか、データの整合性などをもとにして定期的に検証する方法 
ネットワークトラフィック監視(通信の監視と制御) ゲーム内の通信を監視し、不正な活動を検出・防止するチート対策。異常なパケットの送受信や、通常プレイに比べ異常なパターンの通信がないかなどを検出する。 

【サーバーサイドの監視と制御で効果的に対策できる主なチート行為】 

  • 視覚・表示の操作(ウォールハック、ESP、レーダーハックなど) 
  • エイム・攻撃の自動化(エイムボット、トリガーボット、リコイル制御など) 
  • 移動・位置の不正操作(スピードハック、テレポート、無限ジャンプなど) 
  • リソース・体力の不正操作(無限弾薬、神モード、無限資源など) 
  • ネットワーク・接続の操作(ラグスイッチ、DDoS攻撃など) 

クライアントサイドの保護と検出 

クライアントサイドで行えるチート対策の種類として、以下が挙げられます。 

アンチチートソフトウェアの導入(リアルタイムでのチート検出) 専用ソフトウェアにより、ゲーム内におけるプレイヤーの行動をリアルタイムで監視し、不正行為を検出するチート対策。チートが検出された場合、アンチチートソフトウェアはゲームからプレイヤーを自動的に排除したり、アカウントを一時停止したりする。 
クライアント整合性チェック(クライアントの改ざん防止) ゲーム起動時に、インストールされているファイルが公式のものと一致するかなどを確認し、クライアント側のデータ改ざんを防止する。 
スクリプト検出ツールの導入(不正スクリプトの検出) ゲームクライアント上で実行されるスクリプトを監視し、異常な動作や不正なスクリプトの実行を検出する。 

【クライアントサイドの保護と検出で効果的に対策できる主なチート行為】 

  • 視覚・表示の操作(ウォールハック、ESP、レーダーハックなど) 
  • エイム・攻撃の自動化(エイムボット、トリガーボット、リコイル制御など) 
  • リソース・体力の不正操作(無限弾薬、神モード、無限資源など) 
  • バグやゲームの欠陥を悪用(グリッチ、クライアントサイド変更、スクリプトキディなど) 

行動パターンとユーザーの監視 

プレイヤーの行動データやゲーム内の動きに基づいて異常行動(過剰なスコア、不自然な速度など)を分析し、パターンからチートを検知する方法です。これにはAIを使ったデータ解析が含まれることが多いです。行動パターンとユーザーの監視によって実施できるチート対策の種類は以下の通りです。 

行動パターンの分析(異常な反復動作の検出) ゲームにおけるプレイヤーの行動を監視し、不自然な行動パターンや異常な反復動作を検出することでチート行為を防ぐ 
キャプチャの実装(ボット行為の防止) 歪んだ文字や特定の画像を選択させたり簡単な計算をさせたりすることで、人間とボットを区別する「キャプチャ」を活用しチート行為を防ぐ 
接続の安定性チェック(ネットワーク接続の不自然な遮断の検出) ネットワーク接続の不自然な遮断や遅延を検出することでチート行為を防ぐ 

【行動パターンとユーザーの監視で効果的に対策できる主なチート行為】 

  • 自動化・ボット行為(ボット、ファーミングボット、マクロ、自動クリックなど) 
  • ネットワーク・接続の操作(ラグスイッチ) 

【不正探知プラットフォーム Stena Game】 
Stena Gameは、行動分析AIにて、チートを行うユーザーを自動検知するサービスです。自動収集される膨大なログデータの中からAIがユーザーの全行動を自動で解析し、チートやBotなどの不正行為を検出します。 

Stena Gameの最も大きな特徴は、強力な検知能力です。世界最高精度水準の異常検知技術をタイトルごとに最適なかたちでチューニングしたAIが、ユーザーの全行動ログを監視します。その誤検知率は、わずか0.0001%以下です。 

不正ゲームプレイヤー検知報告サービスに関するより詳しい内容は、サービスサイトをご覧ください。
https://www.aiqveone.co.jp/security/stenagame

バグと不正行為への迅速な対応 

バグと不正行為に対して迅速な対応を行うことによって、チート行為の発生を軽減することが可能です。具体的には以下の対策があります。 

バグ報告と修正(グリッチの修正) ゲーム内のバグ・不具合を悪用し有利にプレイをする「グリッチ」を防ぐこと。具体的にはバグや不具合を特定次第、迅速に修正をおこなう。 
クライアントサイド変更の防止(クライアントファイルの検証) ゲームクライアントのファイルが改ざんされていないか確認することで、チート行為を予防する対策。たとえばゲームクライアント起動時に、インストールされているファイルが公式のものと一致するか確認する。 
DDoS攻撃対策(DDoS防御サービスの導入) ゲームサーバーへ大量のリクエストを送信し、サービス停止を狙うDDoS攻撃を防ぐことでチート行為を予防する対策。DDoS攻撃を防御するWAFなどのサービスを導入する。 

【バグと不正行為への迅速な対応で効果的に対策できる主なチート行為】 

  • バグやゲームの欠陥を悪用(グリッチ、クライアントサイド変更など) 
  • ネットワーク・接続の操作(DDoS攻撃) 

脆弱性の改修 

システムなどに内在する脆弱性は、チート行為に悪用されることがあります。またチート行為の多くは、システムのセキュリティ機構を回避することによって目的を達成します。そこで効果的なのが脆弱性診断です。脆弱性診断によって脆弱性を発見し修正することが、チート行為の削減につながります。 

脆弱性診断とは、システムやアプリケーションに存在する脆弱性(バグ・設計時の欠陥)などを検出しそのリスクを評価することです。 

【関連記事】脆弱性診断とは?その必要性と発見できるリスクをわかりやすく解説 

脆弱性診断を定期的に行うことで、システムやアプリケーションのセキュリティレベルを底上げすることも可能です。これによって開発者のシステムに対する信頼性を確保し、チートに対する予防策が講じやすくなるといった面もあります。 

ただし脆弱性診断は、全てのチート行為を防ぐ対策にはなり得ません。チート行為はセキュリティの弱点を突くだけでなく、システム・アプリケーションを不正に操作することでも目的を実現するためです。 

そのためチート行為を防ぐには、脆弱性診断と併せて本記事で紹介した他の対策を組み合わせることが求められます。 

【オンラインゲーム診断】 
「オンラインゲーム診断」は、オンライン機能を有するスマホゲーム・PCゲーム向けのチート対策サービスです。本サービスでは、世界トップレベルのセキュリティエンジニアが、クライアント・サーバーの両方を精密に検査します。そうしてチートなど不正行為の実現可能性やサイバーリスクを洗い出すのです。 

診断結果は、各脆弱性の修正案などを含めてレポートにまとめて提出します。オプションで、診断結果の報告会を実施することも可能です。診断結果の報告後は脆弱性の改修に対するサポートを提供するほか、診断実施3ヵ月以内であれば無料で再診断もおこなっております。 

オンラインゲーム診断の詳細については、以下公式サイトURLで確認ください。 
https://pentest.chillstack.com/game/

まとめ 

チート行為はオンラインゲームの公平性やブランドイメージに深刻な影響を与えるため、早期の対策が必要です。視覚操作や自動化、リソースの不正操作など、多岐にわたるチート行為が存在し、それに応じたサーバーサイド、クライアントサイド、行動パターンの監視など多層的な対策が求められます。特に、AIを活用した自動検知システムの導入は、効率的で高精度なチート防止に貢献します。

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