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「エキスパートデバッガー」が語る、仕事の醍醐味や魅力とは?

  • #インタビュー
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AIQVE ONEのエキスパートデバッグチームには、難関テストを突破し、バグ検出能力に優れたメンバーが在籍しています。チームの立ち上げから携わり、エキスパートデバッガーの教育やサポートも担当する水野司さんにお話を伺いました。

【インタビュイー】
AIQVE ONE株式会社 エキスパートデバッガー
水野司さん

2001年に大手デバッグ会社に入社。コンシューマーゲームを中心にデバッグを経験。2018年、AIQVE ONEの前身となるモリカトロン(株)に入社し、京都ラボの立ち上げに携わる。設立当初からエキスパートデバッグチームの一員として第一線で活躍しながら、エキスパートデバッガーの教育、育成なども行う。現在はインディーゲームの支援に力を入れたいという思いからフリーとなり、引き続きビジネスパートナーとしてAIQVE ONEに参画している。

「デバッグは『宝探し』のようなもの」

-水野さんは、デバッグの世界に飛び込み、20年以上になるとのことですが、デバッグの面白さに気づいたきっかけや成功体験みたいなものはありましたか?

大手デバッグ会社にてデバッグの仕事を始めて間もない20代前半の頃の話なのですが、体験版のゲームのデバッグをしていたときに、ある操作をすると、全開放されて通常版のゲームになるというバグを出したことがありました。体験版ではステージや使えるキャラクターが限られているはずなのですが、ステージも最後まで行けて、キャラクターも全部使えるようになってしまったんです。
そのバグを出したときに、大勢のスーツを着たおじさんたちが自分のところへ来て、「もう1回出してみて」と言われて。たくさん稼いでいるであろう偉いおじさんたちが若造のところに来て、意見を聞こうとしているというのが面白くて、それがきっかけでデバッグの仕事にのめり込んでいきました。

そして、仕事を進めていくうちにバグとの出会いが楽しくなっていきました。
色々な場面に触れると色々なバグがあり、同じバグというのは一つもないんです。手法は同じであっても見た目が全然違ったり、原因が同じものであっても結果的に出てくるものは変わったり。リリースされるときには修正されてなくなっているので、その場限りで、一回しか見られない。宝探しのようなものだと思います。これは受け売りですけど、多種多様なジャンルのゲームがある中で、デバッグは、バグを出すことを楽しむ一つのゲームのジャンルだと思っています。

AIQVE ONEのエキスパートデバッガーとは

-水野さんが所属しているエキスパートデバッグチームについて教えてください。

エキスパートデバッグチームは、通常のテスター(デバッガー)よりバグ検出能力に長けた少数精鋭のチームです。バグ検出の発想力、検証能力などを中心とした2時間の実技試験を実施し、合格率約27%の狭き門をくぐり抜けた精鋭メンバーのみを採用しています。京都ラボを中心に、現在は約10名が在籍しています。

-水野さんから見て、エキスパートデバッガーと通常のデバッガーの違いはどのようなところにあると感じていますか。

言葉にするのは難しいのですが、エキスパートデバッガーは、バグが出そうなところが直感的にわかる、匂いはないのに匂いを感じるという特徴があると感じています。エキスパートデバッグのバグ出しの観点を教えるのはなかなか難しいのですが、向いている人は、特に育成をしなくても伸びていくということはあります。

では何が違うのかというと、自分も含めて少々ひねくれ者なのかもしれません。普通にあることに対して疑いを持っているというか、デバッグ以外のところでも常に「こうしたらこうなるんじゃないか」などと考えたりしているんです。ホワイトハッカーと似ていると思います。取り扱っているものが違うというだけで思考は一緒なので、実際にゲームデバッグをしていた人がホワイトハッカーになるというパターンもあるようです。

ただ、直感的なタイプ以外にも、仕様書などの資料を読み漁ってバグを狙っていくタイプ、どこかでバグが出たらそこに類するバグをどんどん探していくタイプなど、様々なタイプの方がいます。

すべてのベースにあるのは、バグに対する探求心ではないかと思います。バグを出したいという探求心が強い人は、やはり自然に伸びていきますね。

エキスパートデバッガーとしての仕事術

-テストの進め方や、クライアントとのコミュニケーションにおいて、気を付けていることなどを教えてください。

事前準備をしっかり行う

フリーデバッグは、直感的にまず手あたり次第やってみるという側面はありますが、事前準備もしっかり行っています。仕様書がある場合は、その読み込みであったりとか、一通りゲームを深く触ってみてゲームの作りを把握したり。たとえば、二つの挙動がバッティングする箇所を仕様書から読み込んで、当たりをつけていたりします。仕様書がない場合は、同じタイプのゲームから推測したり、シリーズ作であれば、ネット上から過去バグなどの情報を拾ってくることもあります。ゲームジャンルにもよりますが、このようにして仕様把握の時間を数日間くらいとることが望ましいかなとは思います。

試行内容をリスト化して可視化

最初に観点出しをするテストとは違い、フリーデバッグはもともと、検出されたバグ報告が成果物でした。ただ、たとえば30時間フリーデバッグをやったとして、バグが3件となると、本当に30時間もやったのか、クライアントは不安になります。そこで、自分たちが試した内容をリスト化していくことで、何をやったかを可視化できるようにしています。仕様書を読みこんで気になるところは先にリストに書いていくこともありますし、やりながら書いていくこともあります。基本的にデバッグはサービス業だと思うので、いかにクライアントが安心できる材料を提供するかということが大切だと思っています。

クライアントと対等な関係を築く

クライアントによって、チャット、メール、電話などのコミュニケーション手段は使い分けています。ただ、オンラインミーティングで顔を合わせなければ温度感がわかりにくかったりするので、そこは大切にしていて、基本的にキックオフミーティングは必ず行うようにしています。また、案件が終わったら、案件全体の振り返りミーティングもセッティングしています。
個人的に、デバッグチームは立場が下など、上下関係になってはいけないと思っています。ゲームを楽しんでもらいたいという気持ちは一緒なので、開発側のチームとかデバッグのチームではなく、一つのチームとして動きたいという思いがあります。
何か発生したときに無償の補填をしなければならないケースもありますが、無条件に非を認めるのではなく、対等に話し合いを持てる関係性を作ることがとても重要だと思います。
たとえば、定例のミーティングを実施するように提案したり、バグの発生状況を見て重点的に見るところを提案したりすることもあります。時には、バグが大量に出ているところは修正が落ち着くまで作業をいったん止めるなど、クライアントの工数削減になるようなことも提案します。それにより、良い関係性が築けますし、より対等な関係に近づけるのではないかと思います。

プレッシャーや怖さとの向き合い方

-プレッシャーや怖さなどはありますか?またそれらとどう向き合っているのでしょうか。

デバッグやテストは、ユーザーに届ける前の最後の砦であり、そこでバグを見逃してしまうとそれが世の中に知れ渡ってしまいます。また、今は何かあればすぐにSNSに上がるので、プレッシャーや怖さはもちろんあります。

今はもうなくなりましたが、若い時は、バグが出ないと胃が痛くなりました(笑)。そんなときは、他の人が報告したバグをまず自分の手で再現させていました。他の人のバグを試すことによって、いい意味で自分が出したという勘違いにもなるんです。次の案件でそれを活かすこともできます。
あとは仕様書で見逃しているところはないかなど、ひたすら探っていきました。常に考えていて、それこそお風呂に入っているときに思いついたことを、翌日早速試したこともありました。

精神力は試されると思います。それこそ各家庭のネットワーク環境が普及する前は、バグが出たら回収騒ぎになり、多額の損害が発生するということもありましたから、死に物狂いでした。今はオンラインの環境が主流になり、パッチを当てることができるようになったので、そこまでのプレッシャーはないものの、ひと昔前よりもゲームでできることは圧倒的に増えているので、難易度は高くなっています。案件が終わり、SNSを一通り見たら、あとはなるべく考えないようにしています。

エキスパートデバッガー育成の取り組み

-今は教育担当としてエキスパートデバッガーの育成などをされていますが、取り組みについて教えてください。

寺子屋というデバッグに関する勉強会を、月1回開催しています。デバッグの楽しさはフリーデバッグにあると思っているので、新しく入ってきた人たちに自分の発想を活かした仕事であるということをもっと知ってほしいという思いがあります。離職率を抑えたいというのもありますし、メンバーのステップアップの一つのきっかけになればという思いから始めました。僕らが検出したバグの観点について、クイズ形式にして、「こういう状況だったらどういうことができそうか」ということを話し合うということをしていました。ただ、実際にゲームを触りながらではないので、そこを変えたいと思い、今、eラーニングの取り組みを進めています。自社で制作したゲームにバグを実装してもらい、そのバグを実際に手元で出してそれを動画で残して資料化するといったことを進めています。自社のゲームなので守秘義務などもありませんし、eラーニングなのでより学習しやすいのではないかと思います。
この寺子屋に参加してくれた人の中から、伸びるメンバーが出てくれたらいいなという思いで進めています。

「デバッグの認知向上、地位向上に貢献したい」

―AIQVE ONEでの活動にとどまらず、今後取り組んでいきたいことなどがあれば教えてください。

デバッグという仕事のことは、ゲーム業界もそうですが、ゲーム業界以外の人は恐らくほとんどの人が知らない仕事です。今はインディーゲームの支援にも積極的に取り組んでいるのですが、それは、インディーゲームの開発者たちがデバッグの重要性を知ってくれれば、デバッグの認知度も高くなるのではないかと思っているからです。これからも、デバッグの認知向上や地位向上のために、縁の下の力持ち的なところで貢献していけたらと思っています。

-本日はありがとうございました。

AIQVE ONEのエキスパートデバッガーについての詳細は以下をご覧ください。
https://www.aiqveone.co.jp/test/bug-detectuion

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