【メタバース開発】バーチャル旅行プラットフォーム「ANA GranWhale」開発インタビュー
ANA NEO株式会社
主にスマートフォン/Nintendo Switch™向けのゲームを手掛ける株式会社カエルパンダを訪問。
QAや自動化に対する考え方を伺いました。
ガラケー向けに配信されていた「ゆるゆる劇場」の移植版である、
Nintendo Switch™向けDLタイトル「ゆるゆる劇場クラシック」にて、テストを実施。
・河上 京子 氏/代表取締役 コンセプトプランナー
・奥田 覚 氏/取締役 クリエイティブディレクター
ーまずはじめに、株式会社カエルパンダについて教えてください。
奥田氏:私たちカエルパンダは、主にゲームの配信や請負開発を中心に夫婦でやっている小さい会社です。もともと河上は、特にガラケーアプリのプロデューサーとして200タイトル以上手掛けて高打率で実績を残してきた、元“売れっ子プロデューサー”でして。そんな彼女が独立して立ち上げた会社です。ゲーム開発の請負と並行して、「10秒走」「ゆるゆる劇場」など彼女がかつてプロデュースした作品をライセンス出していただいて、現代のゲーム環境でリブートするみたいな事にも取り組んでいます。
私は元々、河上のプロデュース作品を担当したりする開発会社側のディレクターだったのですが、しばらくは河上が一人で会社を回していて、一人だと色々大変そうだったので、私も独立して参加しました。
河上氏:カエルパンダは仕事を請け負う時も、基本的に言われたことをそのまま従うよりは、私たち側でも積極的に企画に絡んで、コンセプトやターゲットまで細かく提案するなど、なるべく企画/プロデュース面から一緒に関わらせて頂けるプロジェクトを選んで請けるようにしています。お金儲け的には下手かもしれませんが(笑)、それでもクリエイターの姿として私たちの理想を常に追い求めています。
会社としての代表作は「10秒走RETURNS」、昨年アクワイアさんから発売された「残月の鎖宮」、今回御社でデバッグ行っていただいた復刻版「ゆるゆる劇場」シリーズなどです。今後も会社として次のステージにステップアップするべく、色々と頑張っているところです。
ー代表作の一つである「ゆるゆる劇場」シリーズについても、教えてください。
河上氏:「ゆるゆる劇場」シリーズは、ガラケー時代に380万DLを記録した不条理なギャグを楽しむアドベンチャーゲームです。シナリオの進行にあわせたミニゲームをクリアすることでゲームが進んでいくんですが……。
奥田氏:電車内でなんとか椅子に座ろうとするゲームとか、人間ドックのバリウム台から落ちないようにするゲームとか……。
河上氏:煩悩の数だけ縄跳びとか……ギャグしかやってないですね(笑)。
奥田氏:作られた当時は、おそらく大人向けに作られていたコンテンツだと思うのですが、キャラの普遍的なかわいさもあってか、蓋を開けてみると現在20代のユーザーさんからも、「当時、お母さんのガラケーで遊んでました!」なんて声が届きます。すごく嬉しいですね。とはいえ、ゴムーンってキャラのモチーフだとか、大人になって知ると実はヤバいってネタ満載なのですが(笑)。
ーAIQVE ONEとの取り組みは、Nintendo Switch™版「ゆるゆる劇場クラシック」の開発が決まったタイミングでしたね。
奥田氏:ええ、そうです。Nintendo Switch™版の開発に向けてクラウドファンディングを実施したところ、目標の160%を超える支援を頂きました。そこから、すでにスマホ向けに開発していたプロジェクトをNintendo Switch™向けに最適化する必要があり、そのQAをAIQVE ONEさんと一緒に行いました。
ーいざQAが始まって、いかがでしたか?
奥田氏:これまで色々なデバッグ会社さんとお付き合いしてきましたが、AIQVE ONEさんは“AIを用いた作業の自動化”を始めとした最新のソフトウェア工学を駆使されていて、私たちとしてもそういった分野に付いていきたいと思っているので、「どういう形で進められるんだろう?」と興味津々でAIQVE ONEさん側の作業の進行を眺めていました(笑)。
河上氏:実際にAIQVE ONEさんにお願いしてみると、Garbo(AIQVE ONEのテスト自動化ツール)を使用した自動化が効いているのか、初日のテスト量が他社よりも多いと実感しました。それと基本的にスタッフの皆さんが優秀で、一緒に面白がって仕事してくれますし、私たちが「まさか」と思うようなバグも確実に拾ってくれます。
奥田氏:「ゆるゆる劇場クラシック」では「RetroBlit」というUnity向けのピクセルゲーム用フレームワークを使用しているのですが、このフレームワークをNintendo Switch™で使用するのは初めてでした。フレームワークの作者さんと事前に色々準備はしていたものの、やはり実機でテストをすると色々と固有の不具合が出てきて。NintendoSwitch™上での動作の問題点を徹底的に洗い出していただけて、それらを潰すことができたので助かりました。おかげで続編の移植も早く進んで、ありがたかったです。
ーテスト自動化に対する御社の考え方を教えてください。
奥田氏:今回使わせていただいたのは通常のデバッグのサービスで、ゲーム画面上の画像認識による基本操作や特定のシナリオの自動化でしたが、御社が取り組まれているAIを活用した自動テストソリューションには非常に興味があります。
河上氏:自動化できるところは、積極的にやったほうがいいですよね。従来のテストは慣れている人に作業をお願いしがちですけど、様々な事情でその人が動けない状況になると困ってしまいます。その点、AIQVE ONEさんの手法であれば属人化が防げますし、お互いが楽になります。
奥田氏:それと最近のゲーム開発は、リリース後にバージョンアップする機会も多く、修正パッチ適用時に、それまで問題が無かった箇所へ新たなバグが入らないよう注意する必要もあります。例えば、最初から最後までイベント手順を辿るスクリプトを用意すれば、そういった見落としもある程度防げるでしょう。私たちとしても今後のゲーム開発には、そういった自動化の仕組みを積極的に取り入れたいなと考えています。
ーAIQVE ONEに今後期待したいことを教えてください。
奥田氏:業務の軸はQAかと思いますが、AIを駆使した“開発サポート”という分野でも、切り拓けることはいっぱいあるのかなと思います。
河上氏:例えばマップを制作する際、同じ人がいくつも作るとどうしても癖が出てしまいます。最終的には人の手でブラッシュアップしますけど、マップのベースをAIに量産してもらえると便利ですよね。AIであれば、何度やり直しても心が折れないという利点もあるはず。(笑)
奥田氏:実際、プロジェクトのタイミングで集められるメンバーって変わりますし、それぞれ得意不得意があります。AIQVE ONEさんにはQAだけじゃなく、AIを通してゲーム開発の内側にまで入ってもらえるようになることも、期待したいですね。
「ゆるゆる劇場」
©G-MODE Corporation/© 青木俊直
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