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生成AIとは? 仕組みやできること、メリットをわかりやすく解説
ChatGPTなどに代表され、近年急速な進歩を遂げている生成AI。生産性の向上など、様々なメリットがある一方で、新たな課題を生み出しています。生成AIを活用する際には、それらの課題を把握し慎重に対応することが求められます。この記事では、生成AIの利用に伴うリスクや注意点を具体的に解説し、今後の適切な活用方法について考察していきます。
生成AIは様々なデジタルコンテンツを自動生成しますが、万能なツールではありません。生成AIは普及してからまだ日が浅く、多くの課題が解決されていない状況です。以下、その中でも主な生成AIの課題をみていきましょう。
生成AIに学習させるデータに偏りがあると、適切に成果を上げられないだけでなく、論理的な問題につながる可能性があります。
生成AIに人と同じようなレベルの倫理観を求めるためには、偏りなく公平に様々なデータを学習させなくてはなりません。反対に学習データに偏りがあれば、その分だけ生成AIの判断も偏ってしまいます。
結果が偏る例としては、人事採用システムに生成AIを使用した場合が挙げられます。学習データが偏っていると、生成AIが選択する人材が特定の権利や領域に偏るなどの可能性が出てくるのです。
また、自動運転や医療現場など、倫理観が特に重要な分野で生成AIが誤った判断をした場合、その影響は計り知れません。その結果、「AIのミス」とされ、病院や医師の責任が問われず、被害者が泣き寝入りする状況になる可能性もあります。
生成AIは著作権の問題と深く絡んでいます。生成AIを使うときは、以下3つの観点で著作権について気を付けなくてはなりません。
①第三者のコンテンツを、著作権者の許諾なしに学習データとして使用しても問題ないか
②生成AIが作成したコンテンツが他人の著作権を侵害していないか
➂生成AIで作成したコンテンツに著作権は認められるか
以下、ひとつずつみていきましょう。
・①第三者のコンテンツを、著作権者の許諾なしに学習データとして使用しても問題ないか
日本では文化庁が、生成AIと著作権の問題について基本的な考え方※をまとめています。
文化庁は、第三者のコンテンツを著作権者の許諾なしに学習データとして利用できるか否かは、利用目的によるとしています。表現された思想や感情の享受を目的としない利用なら、著作権者の許諾なしに他人のコンテンツを学習データとして利用できるとのことです。
「表現された思想や感情の享受を目的としない利用」とは、簡単に言えば個人の楽しみや娯楽以外の利用を指します。
裏を返せば、利用者を楽しませるための目的などで学習データとして使う場合は著作権者の許諾が必要ということです。また、以下のような場合も著作権の侵害と判断されると考えられます。
世界に目を向けると、米国の作家たちが「自分たちの著作物が学習データとして無断で使われている」として、ChatGPTの開発元であるOpenAIを訴えています。OpenAI側も作家の権利を尊重していると反論しており、訴訟の行方が注目されています。
・②生成AIが作成したコンテンツが他人の著作権を侵害していないか
生成AIが作成したコンテンツが、他人の著作権を侵害してしまう可能性もあります。日本では文化庁が、生成AIの作成したコンテンツも人間の作ったものと同様に著作権の侵害について判断されるとの見解を示しました。
人間と同様に、生成AIが作成したコンテンツも以下の条件に当てはまれば、著作権の侵害と判断されるということです。
もし生成AIの作成したコンテンツがこれら条件にあてはまれば、使用を避けるか著作権者の許諾を得なくてはなりません。
実際、明らかに著作権を侵害しているとみられるイラストなどが数多く出回っており、作成者たちを悩ませています。たとえば指示文に有名キャラクター名を挿入し、そのキャラクターをまねて作成されたと考えられる画像・動画などが出回っている状況です。
2024年10月には生成AIに「自分の声が無断で利用された」として、著名な日本の声優たちが「NOMORE 無断生成AI」を訴える声明を出しました。米国では、音楽生成AI・大手Suno・Udioを著作権侵害で訴えています。これらの動向についても、今後注目されるところです。
・➂生成AIで作成したコンテンツに著作権は認められるか
生成AIで自身が作成したコンテンツに、著作権が認められるかも考慮すべき問題です。日本の文化庁では、生成AIが作成したコンテンツが以下の条件を満たすのであれば、著作権が認められるとしています。
たとえば、以下のようなケースでは著作権が認められると考えられます。
一方で米国では、生成AIを使い画像を作成するAI絵師の著作権が問題となっています。AI絵師が作成したコンテンツの著作権登録を当局が拒否したことから、AI絵師側が訴訟を起こしたのです。
米国の著作権当局や司法は、人間が作成したもの以外の著作権を認めないとの立場を崩していません。2023年8月には、AIが作成したコンテンツに著作権は認められないとの判決が出ました。今後も、生成AI作成のコンテンツに著作権が認められるか、注目されるところです。
生成AIの利用には、いくつかの課題があることをみてきました。それでは、生成AIを使う際には、どのような点に注意しなくてはならないのでしょうか。以下、主な注意点をみていきましょう。
生成AIで作成したコンテンツを公開する場合、他人の著作権を侵害していないか考慮しなくてはなりません。第三者が作成したコンテンツとの依拠性・類似性があれば、著作権を侵害したとみなされるためです。
著作権の侵害を避ける対策としては、使用する生成AIがどのような学習データを使っているか確認することが挙げられます。たとえば以下の生成AIは、著作権に配慮した学習データを使用しているとしており、安心して使えるでしょう。
Adobe Firefly | 画像生成AI。Adobeのストックフォトやイラストを学習データとして使っており商用利用も可能。 |
AIVA | 音楽生成AI。著作権切れの音楽を学習データとして使っており、非営利目的であれば自由に使用可能 |
Canva | オンラインのデザインツールに画像生成AIを搭載。著作権の問題をクリアした素材を、学習データとして使っており商用利用可能。 |
個人的に楽しむだけであれば著作権が問題にならなくても、それを公開した途端に著作権の侵害を指摘される可能性があります。生成AIで作成したコンテンツを公開する際は十分に気を付けましょう。
一方で、生成AIを使い自分で作成したコンテンツの著作権を主張する場合も、注意が必要です。どの生成AIを使って、どのようなプロセスでコンテンツを作成したかを明確にしておくと、著作権を主張しやすくなります。
生成AIが作成したコンテンツが、必ずしも品質上問題がないとは限らない点にも注意が必要です。
たとえば生成AIが作成した記事には、誤った情報や古い情報が含まれている可能性があります。生成AIが学習したデータ自体に誤りが含まれていたり、情報が古かったりすることも考えられるためです。
生成AIが作成したコンテンツを、過度に信用してはいけません。誤りや問題が含まれる可能性を認識し、必ず人間がチェックし必要に応じて修正をする必要があります。
生成AIは、あくまでクリエイティブなコンテンツを作成するための補助ツールであり、人間の創造性を完全に代替できるツールではありません。
生成AIを使いコンテンツを生成・公開する場合、意図せず個人情報の漏えいやプライバシー侵害につながる可能性があります。
個人情報を指示文に含めればその恐れがあるのは言うまでもありませんが、問題は決してそれだけではありません。学習するデータの方に、名前や住所などの個人情報が含まれている可能性があるのです。この場合、生成AIはそのことに気付かず個人情報漏えいやプライバシー侵害の問題のあるコンテンツを作成してしまう可能性があります。
生成AIが作成したコンテンツを公開する際は、個人情報やプライバシーを保護するためにも、必ず人間による確認が必要です。
生成AIに依存し過ぎると、スキルアップの機会やクリエイティブ性が失われるリスクもあり注意しなくてはなりません。
生成AIにコンテンツの作成を任せてばかりだと、自分で創作を行うこともなくなってしまいます。その結果、自分のスキルが向上する機会が減少し、クリエイティブ性が損なわれてしまう可能性があります。
AIはあくまで自分自身のクリエイティブを助ける補助ツールとして使うべきであり、自分自身のスキルを磨き続ける努力が求められます。AIを活用する際は、自分自身の成長を妨げないように、常にスキルアップの機会も求めるようにしましょう。生成AIが作成したコンテンツを検討・修正し、クリエイティブの楽しみを常に感じ続けることも推奨されます。
生成AIの活用には、著作権やデータの偏りによる倫理的課題、生成コンテンツの品質およびプライバシー保護など、さまざまな課題が存在します。
弊社では、法令を遵守し著作権保護や炎上リスクを十分に考慮した生成AIシステムの開発を行うことが可能です。サービス利用者を含めた、関連するすべての方が安心して信頼できる開発を支援させていただきます。
エンタメソリューション開発 サービス詳細はこちら:https://www.aiqveone.co.jp/solution
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