ソフトウェアテスト
【5.テストマネジメント編】JSTQB Foundation Levelシラバス最新版の具体的な変更点まとめ
JSTQB(ソフトウェアテスト技術者資格認定組織)は、Foundation LevelシラバスVersion 2023V4.0 日本語翻訳版(以下、2023年版)を2023年9月に公開いたしました。ISTQB (国際ソフトウェアテスト資格認定委員会) が 2023年5月にリリースした Foundation Level シラバスVersion 2023V4.0を日本語訳したものです。この記事では、「6.テストツール」(2018年版では「6.テスト支援ツール」)の章における2018年版からの具体的な変更点を解説いたします。
学習時間が40分から20分に変更になっています。
2023年版では、2018年版から以下のようにキーワードが削除されています。
共通のキーワード | 2023年版において削除された キーワード | 2023年版において追加された キーワード |
---|---|---|
•テスト自動化 | •データ駆動テスト •キーワード駆動テスト •テスト実行ツール •テストマネジメントツール | ※なし |
構成の比較は以下の通りです。
2018年版 | 2023年版 |
---|---|
6.1 テストツールの考慮事項 6.1.1 テストツールの分類 6.1.2 テスト自動化の利点とリスク 6.1.3 テスト実行ツールとテストマネジメントツールの特別な考慮事項 6.2 ツールの効果的な使い方 6.2.1 ツールを選択する際の基本原則 6.2.2 ツールを組織に導入するためのパイロットプロジェクト 6.2.3 ツール導入の成功要因 | 6.1 テストのためのツールによる支援 6.2 テスト自動化の利点とリスク. |
2023年版では、キーワードは「テスト自動化」のみとなり、2018年版における内容はほとんど省略され、構成や内容がよりシンプルになっています。2018年版では詳細で具体的な情報を提供しているのに対し、2023年版ではより明確で簡潔な情報提供をしています。
タイトルは異なりますが、2018年版における「テストツールの考慮事項」の導入文に該当する内容です。両者とも、テスト活動を支援するためのさまざまなタイプのテストツールに焦点を当てています。
以下の通り、2018年版では具体的なテストツールの例、2023年版ではより広範囲なテストツールの種類を挙げており、マネジメントツールから非機能テストツール、DevOpsツールまで、さまざまなカテゴリーのテストツールを説明し、さらに、これらに限定されるものではないとしています。
なお2018年版では、「6.1.1 テストツールの分類」においても詳しく種類を解説しています。
【テストツールの例】
2018年版 | 2023年版 |
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• テストに直接利用できるツール(テスト実行ツールやテストデータ準備ツールなど) • 要件、テストケース、テスト手順、自動化テストスクリプト、テスト結果、テストデータ、欠陥 などを上手く取り扱うツール、およびテスト実行のモニタリングとレポートのためのツール • 分析と評価に利用できるツール • テストに役立つあらゆるツール | • マネジメントツール • 静的テストツール • テスト設計および実装ツール • テスト実行とカバレッジツール • 非機能テストツール • DevOps ツール • コラボレーションツール • 拡張性/展開の標準化をサポートするツール • その他、テストを補助するツール |
ここでは、両者ともテスト自動化の潜在的な利点とリスクに焦点を当てています。
利点については概ね同じですが、リスクについては一部内容や言い回しが異なっています。
【テスト自動化の潜在的なリスク】
2018年版 | 2023年版 |
---|---|
テストツールの効果を過大に期待する(例えば、ツールの機能や使いやすさなど)。 | テストツールの利点に非現実的な期待をする(例えば、ツールの機能や使いやすさなど) |
テストツールを初めて導入する場合に要する時間、コスト、工数を過小評価する(例えば、教育 や、外部の専門家の支援など)。 | ツールの導入、テストスクリプトの保守、既存の手動テストプロセスの変更に必要な時間、コ スト、労力の見積りが正確でない |
大きな効果を継続的に上げるために必要な時間や工数を過小評価する(例えば、テストプロセス の変更、ツールの使用法の継続的な改善など)。 | |
ツールが生成するテスト作業成果物をメンテナンスするために必要な工数を過小評価する。 | |
ツールに過剰な依存をする(テスト設計またはテスト実行と置き換えられると考える、または手動テストの方が適したケースで自動テストを利用できると考えるなど)。 | 手動テストがより適切である場合に、テストツールを使用する |
ツールに過剰な依存をする、例えば人の批判的思考の必要性を無視する | |
ツール内にあるテスト作業成果物のバージョン管理を怠る。 | ※該当なし |
重要なツール間での関係性と相互運用性の問題を無視する。例えば、要件マネジメントツール、 構成管理ツール、欠陥マネジメントツール、および複数のベンダーから提供されるツールなど。 | 自動化ツールが開発プラットフォームと互換性がない |
ツールベンダーがビジネスを廃業したり、ツールの販売から撤退したり、別のベンダーにツールを売ったりするリスクがある。 | ツールベンダーがビジネスを廃業したり、別のベンダーにツールを売ったり、サポート(問い合わせへの対応、アップグレード、不具合修正など)が不十分であったりする可能性がある |
ツールのサポート、アップグレード、欠陥修正に対するベンダーの対応が悪い。 | |
オープンソースプロジェクトが停止する。 | オープンソースソフトウェアの使用は、放置された時にそれ以降のアップデートが利用できないことを意味することになるか、その内部コンポーネントが、以降の開発にて、かなり頻繁なアップデートを必要とする可能性がある |
新しいプラットフォームや新規技術をサポートできない。 | ※該当なし |
ツールに対する当事者意識が明確でない(例えば、助言や手助け、および更新など)。 | ※該当なし |
※該当なし | 規制要件や安全基準に適合してない不適切なツールを選択する |
2023年版シラバスはこちら
https://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_VersionV40.J01.pdf
2018年版シラバスはこちら
https://jstqb.jp/dl/JSTQB-SyllabusFoundation_Version2018V31.J03.pdf
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